【試乗】旧車の乗り味まで復活させる復刻タイヤ「ヨコハマADVAN HF TypeD」の走りに感動

最新技術を駆使してヒストリックカーに最適化

装着タイヤ:ヨコハマ ADVAN HF Type D
装着サイズ:フロント 205/50R15 リヤ 225/50R15
装着車両:日産スカイラインGT-R(通称:ケンメリGT-R)

 ヨコハマタイヤから1981年に、ADVAN HF Type Dが発売されたときの衝撃は、いまなお記憶に残る。

 レーシングタイヤがスリックへ移行するのは1970年代前半で、当初は、溝の存在を惜しむかのようにトレッド面に松葉状の細いサイプが施されていた。ヨコハマタイヤも、71年にY800というスリックタイヤの導入を進めていた。以降、ドライ路面でのレースはスリックタイヤが標準となり、速さの象徴として憧れにもなる。

 ADVAN HF Type Dは、トレッド外側がスリックタイヤ状で、そこにディンプルが配されている。クルマに装着された様子を横から見ると、あたかもスリックタイヤを付けているように見え、レースの世界だけだと思っていた憧れが、現実のものとして身近な手の届くところにきた喜びと興奮をもたらした。

 それはまた、左右非対称のトレッドパターン誕生をも意味し、それまでの方向性パターンとともにタイヤ性能を飛躍的に高めるきっかけにもなった。まず高性能タイヤでその威力を発揮し、やがて今日では、タイヤの総合性能を高める技術へ発展している。

 Type Dがトレッド外側をスリックタイヤのようなデザインとし、タイヤ接地面積を増やしたことは、見た目のよさだけでなく実際に運転をした際の性能にも効果を現した。ハンドルを切り込んだとき、手にグッと手応えが増し、コーナリングの限界を高めてくれるグリップの効き目を実感させたのであった。

 今回、ケンメリスカイラインGT-Rにフロント205/50R15、リヤ225/50R15というサイズを装着。運転してまず実感したのは、ハンドルを切り込んだ際の手応えの確かさだった。かつての記憶が鮮明に蘇り、運転しながら思わず笑みがこぼれた。

 試乗をしたのは、梅雨のさなかの一瞬の雨上がりだった。水たまりこそないが、路面は濡れている。新品のタイヤは濡れた路面の影響もあり、はじめのうちはハンドルに心もとない様子を伝えてきた。だが走り込むほどにトレッドがひと皮むけ、手応えがしっかりしてきた。同時にまた、トレッドの温度も上がりはじめ、さらにグリップ感覚が増してくる。

 タイヤ温度が高まるにつれ、本来のグリップを発揮しだすのはレーシングスリックタイヤと同じ感触であり、単にトレッドパターンの一部にスリックタイヤの面影を残したというデザインの面白さだけでなく、運転感覚にも、まるでレーシングスリックタイヤのような感触を味わえるところに、Type Dの、あるいはヨコハマタイヤの、心憎いタイヤへの想いを覚えずにはいられない。

 またGT-Rとはいえ、45年も前の車体剛性に今日のスポーツタイヤはグリップが高すぎるが、当時の車体とサスペンションにちょうどいい性能を与えられているところにも、復刻の意義を大きく感じさせた。旧車の走りはタイヤが勝負だ。いくらきれいに動態保存されていても、当時のタイヤがなければ旧車の価値は半減するといっても過言ではない。

 試乗したケンメリGT-Rは、オリジナル塗装のまま大事に管理されてきた車両で、クルマとしての程度も非常にいい。そこに、当時の走りを蘇らせるタイヤが装着され、70年代の名車を本当の意味で堪能することができた。

ADVAN HF Type D
サイズラインアップ:185/70R13〜225/50R15(全6サイズ)

 【詳しくはこちら】
問い合わせ:横浜ゴム株式会社 0120・667・520(受付時間 平日:9:00~17:00)

 【車両協力】
プリンスガレージ かとり

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