フェルディナンド・ヤマグチの試乗コラム! 悩ましいアウディQ3のエンジンと駆動方式選び

本題に入るまえに「バンかけ」ってご存じですか?

 半年ぶりのご無沙汰です。フェルディナント・ヤマグチです。

 週刊の筈がいつのまにか隔週となり、そのうち月刊にペースになったと思ったらそれが隔月となり….遂には半期ペースとなった当連載ですが、編集部のご厚意に支えられ、何とか生き永らえております。ありがたいことです。

 さて、最近やたらと警官による職務質問、所謂「バンかけ」が増えることにお気付きでしょうか。品行方正なるQuanaodepの読者諸兄に於かれましては、まさかおまわりさんからオイコラと声を掛けられることなど無いとは存じますが、街を歩いておりますと、それはもう一日に何回も、「ちょっとそこのアナタ」と不審者に対するバンかけ風景を目にするのであります。

 ちなみに「バンかけ」とは、ケーサツ及び犯罪常習者の皆様の間で使われる業界用語でありまして、職務質問を始める際に、「こんばんは」と声を掛けたのが語源であるそうです。昔の職務質問は、圧倒的に夜が多かったからですね。

 で、こちらの一枚。JR品川駅構内で実施されていたバン掛けの風景です。

 キャップを前後逆さまに被り、マスクで鼻と口を覆って足早に歩く男性を、二人組の警官が、「ちょっと良いですか?」と呼び止めました。ヤクザという訳では無さそうですが、堅気の勤め人にも見えません。まあ怪しいと言えば怪しいですが、こうした風体の人は街なかにいくらでも歩いています。とまれ、プロの目には何かしら「引っ掛かる所」が有ったのでしょう。

警察には素直に従うのが大人の街の歩き方

 なんですか? 俺、何かしましたか? 急いでるんですけどね。いやいやお時間は取らせませんから……こんな遣り取りが有った後、警官は男性が肩から掛けていたカバンの中味を見せてくれと要求します。

「そのカバンの中味は何?ちょっと見せてもらえますか?」

「いやぁ。何も変な物は持っていないし、プライベートな物ですから……」

「変な物がないなら、見せてくれても良いでしょう」

「変な物がないから、見せる必要はないでしょう」

 不毛な押し問答の後、根負けした男性は渋々とカバンを差し出し、片方の警官が中味を改めます。ここで警官が“その気”であれば、ドライバーやアーミーナイフ付きのキーホルダーを持っていただけでも簡単に逮捕されてしまいます(実際にそうした例はたくさんあります)。しかしこの男性のカバンからは何もヤバい物は発見されず、「ハイ結構です」と解放されました。

「結構ですじゃねぇだろ。ムダな時間を取らせやがって!」と憤懣やるかたない様子で悪態をつくマスク男性。しかしこうした“逆襲”には慣れっこなのでしょう。警官は悪びれるでもなく、いやいやどうもどうもご協力感謝しますと余裕の笑顔で男性を見送ります。

 ただ歩いているだけでイキナリ警官から声をかけられ、公衆の面前で持ち物検査を受けるのは相当な屈辱です。しかしこの行政警察活動のイロハの「イ」であるバンかけの効果はてきめんでして、特に薬物系の摘発には絶大なる効果を上げています。

 警官は一日に何千という人間の動作と表情を観察しているプロ中のプロ。声を掛けるには「それなり」の理由が有るのです。万一声を掛けられたなら、無駄な抵抗などせずに、自らのアヤシイ外見と挙動不審を反省して、素直に取り調べに応じるのが大人の街の歩き方というものです。

 警察対抗マニュアルなどが出回っていますが、真似をしてもロクな事になりませんからね。屁理屈を捏ねた挙句に警察署まで連れて行かれ、こってり油を絞られた友人を知っています。生兵法は怪我の元、という訳です。

本題のアウディQ3試乗は次ページです!

 さてさて、話は何の脈略もなく、Audi Q3の試乗記へとブッ飛びます。これからAudiの全車種を小さい順から片端に乗り倒そうという壮大な計画であります。

 当欄が飛び飛びになってしまうのは、明確な締切りがなく、「書けたとき入稿」という大甘の受け入れ体制に理由が有るのではないか、最近漸く気付きまして、それなら片端から試乗の予約を入れてしまおう……という安直な発想により話は進んでいきました。

 クルマの話だけでは飽きてしまうので、こうして前段に時候のアイサツ程度のムダ話が入ることもございますので、どうかご容赦下さい。試乗車は週替りで用意されていますので、マジで書かないと間に合いません。今度こそ夢の週刊掲載が実現する……のではないかと期待に胸を膨らませております。続けられるといいなぁ……。

1.4リッターと2リッターのターボをラインアップ

 で、Audi Q3です。

 Q7、Q5と続いたアウディSUV兄弟の末っ子で、プラットフォームはA3と共有しています。Q3は親会社であるフォルクスワーゲンのティグアンとは兄弟関係に当たります。ボディサイズは全長4400×全幅1830×全高1615mm。末っ子とは言えなかなか立派な体格をしています。

 今やアウディデザインの代名詞ともなったシングルフレームグリル。フロントからリヤに向かって徐々に跳ね上がって行くのが昨今のデザインの流行ですが、Q3はあえてリヤエンドまでキャラクターラインを水平基調に伸ばしています。このラインが効いて、SUVなのに何となくクーペっぽい。つまり無骨ではなく都会的風な味わいを演出しているわけです。こうしたデザイン処理がアウディはとても上手です。

 リヤ側から見てみましょう。バンパーをヌルっと一面にするのではなく、敢えて平行のラインをいれています。さらにテールゲート下縁の線、左右のテールライト結ぶ線、リヤウインドウの下縁、と水平の線がバシバシ引かれています。こうして安定感を強調している訳ですね。全高1615mmと背の高いクルマですが、このラインのお陰で腰高に見えないようになっているのです。

 それではエンジンを見てみましょう。現在日本には1.4リッターと2リッターの2つのガソリンエンジンが用意されています。

 本国には無論ディーゼル仕様が有るのですが、親会社であるVWがやらかした例のアレにより、我が国には当分輸入されそうにありません。アメリカ市場では(あくまでも“市場”ですよ。“司法”はまた話が別です)もうとっくにあの話はチャラになって、販売も回復しているんですけどね。日本の消費者は厳しいです。

 1.4リッター、2リッターとも、燃料直噴システムとターボを組み合わせたTFSIなるエンジンです。

 ちなみにTFSIのTはTurboのT、FSIはFuel Stratified Injectionの頭文字を取ったものです。アウディ日本ではこれを「燃料直噴」と言っていますが、FSIを直訳すると「燃料層状噴射」になります。直噴は直噴なのですが、プラグ周辺を中心に燃料を濃く噴いて、それ以外の部分は希薄燃焼させて燃料消費を押さえましょう、という賢い仕組みになっています。

4WDがほしいなら2リッターしかないというのが悩みのタネ

 今回の試乗車は小さい方の1.4リッターバージョン。有り難いTFSIのお陰様を持ちまして、この大きな体で有りながら、リッター17.4kmという低燃費を実現しています。まあこれはJC08モードの数値ですからね。

 実際はこんなに走れませんが、名古屋まで高速中心に往復して、リッター15kmは行きましたから立派なものです。もちろんアクセルペダルを強く踏みこめば、キチンと加速しますし、高速を気持ちよくカッ飛ばすことも可能です。本当によく出来たエンジンです。

 Audi自慢のフルタイム4WDシステムであるquattroは、残念ながらこちらの1.4リッター版には用意されず、2リッター版のみの設定です。SUVだから安心と、雪道などで無茶をすると、1.4リッターのほうはツルッと行っちゃいますから注意が必要です。今年は東京でも雪がたくさん振りそうですからね。どうしてもquattroが欲しい人は2リッターのほうを買いましょう。

 そうそう、Q3にはSトロニックと呼ばれるデュアルクラッチトランスミッションが搭載されています。これがシームレスな加速を実現し、じつにキモチ良い。1.4リッターが6速、2リッターが7速と、駆動方法だけでなく変速の方でも差が付けられています。

 気になるお値段は以下のとおり。

 Audi Q3 1.4 TFSI        ¥3,690,000

 Audi Q3 2.0 TFSI(180馬力)  ¥4,590,000

 エンジンが大きくなり4WDになりギアが7速になると、90万円高くなるということです。

 この2リッターエンジンの出力をさらに高め、220馬力にしたバージョンは539万円とイッキに高くなります。4WDが欲しければ、否応なしに2リッターを選ぶことになります。悩みますね。悩んで下さい。それではみなさま(多分)また来週。

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