マクラーレンのターゲットはイタリア製「スーパーカー」とドイツ製「スポーツカー」

 日本に導入が開始されて3年経ったマクラーレン。今年に入り日本市場には、スーパーシリーズの675LTやスポーツシリーズを次々にローンチ。さらには、正規ディーラーも3店舗目となる福岡店を5月にオープンし、その後の4店舗、5店舗目も準備が進んでいるという。果たして、マクラーレンは日本市場をどう見ているのだろうか。

675LT

■期待大の日本市場

 マクラーレンは、日本市場で2014年度(2014年4月~2015年3月)に80台を販売した。前年度は94台(以上JAIA調べ)であったことから若干台数は減らしたものの、今年度は前述のとおり精力的に台数を伸ばすものと思われる。
マクラーレン・オートモーティブ・アジア日本支社の名取雅裕オペレーション・マネージャーは「3年経って、徐々に認知度は高くなっている」とコメント。さらに、エントリーモデルであり、また、ボリュームゾーンになるスポーツシリーズが導入されることから、期待値は相当高いという。
「現状の倍くらいになれば嬉しい」としながらも、スポーツシリーズの生産台数が本社で年間2000台程度と限定されていることから「そこからどれだけ確保できるかが課題」とした。

  

■日本は世界で5番目に大きなスーパーカー市場

 では、イギリス本国から見た日本市場はどう評価されているのか。マクラーレン・オートモーティブ・アジア 太平洋地域担当リージョナル・ディレクター デイビッド・マッキンタイヤーさんは、日本市場について「非常に成熟した市場だ」と評価する。

マクラーレン・オートモーティブ・アジア 太平洋地域担当リージョナル・ディレクター デイビッド・マッキンタイヤーさん

 具体的には、マクラーレンのテクノロジーをも含めた知識を熟知しており、また、ブランドへの“ロマン”を感じているからだという。さらに、フォーミュラ1でのホンダとのパートナーシップもその知識や想いに拍車をかけ、「他の地域とは全く異なる安定した市場」とその特徴を述べた。

 マクラーレンの購入理由について「テクノロジーと路上でのドライブフィールを求めて購入されている」とマッキンタイヤーさんは説明する。
「サスペンションのノーマルモードが快適であること。また、剛性の高いカーボンファイバーモノセルも評価されている」と開発時の目標や特徴がユーザーに伝わっていることを強調。そこで、日本市場においては、試乗を積極的に勧めているという。
「一度試してもらえると、特に以前スーパーカーを保有したことのある人であれば、他車との違いは歴然だろう」と語った。

  

■イタリアとドイツのライバル車をすでに知っているユーザーに

スポーツシリーズの570S

 マクラーレンには、大きく分けてアルティメットシリーズ、スーパーシリーズ、スポーツシリーズといった3種類のラインがある。それぞれについてマーケティング的な視点からユーザー層をどう考えているのだろうか。マッキンタイヤーさんはそれぞれについて次のように説明した。

570S3

 650Sなどのスーパーシリーズの購入ユーザーのほとんどが、「初めてスーパースポーツカーを購入する人たちではなく、イタリアの競合メーカー車を既に乗っている人たちが多い」という。そこから前述のとおり、違いを感じ取ってもらえるのだ。さらに、彼らが求めているものは、「イベントやサーキット走行の後、そのクルマをそのまま家まで乗って帰ることが出来る快適性だ」とした。

 そして、アルティメットシリーズのP1やP1GTRは基本的にサーキット専用に近いので、ユーザー層云々の分析はあまりない。
だが、今回新たに追加されたスポーツシリーズについては、「スポーツカーセグメントにスーパーカーのエクスペリエンスを提供したい」という考えのもと、マクラーレンの特徴であるカーボンファイバーモノセルやミッドシップレイアウトを備え、「ドイツのスポーツカーで、過給器などを持たない標準的なエンジンを選択しているユーザーがターゲット」とコメントした。

P1GTR

 つまり、スーパーシリーズはイタリアのスーパーカーを、スポーツシリーズはドイツのスポーツカーを競合とし、それらをターゲットに開発が行われていたのだ。

 マクラーレンは現在年間2000台弱を生産しており、今回のスポーツシリーズを投入することでその倍を予想している。
今後はエントリーのスポーツシリーズを購入したユーザーがスーパーシリーズ、果てはアルティメイトシリーズへのステップアップも狙っている。
これらを踏まえ、世界で5番目に大きい日本市場も現状の倍を狙うべく販売環境面での整備が急がれている。

 次回、最終回はマクラーレンのクルマ作りに触れてみたい。

 (写真:マクラーレン・オートモーティブ)

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