高度な駆け引きが展開されたJEVRAシリーズ第2戦の筑波

高度な駆け引きが展開されたJEVRAシリーズ第2戦の筑波

 EV(電気自動車)のみで争そわれる全日本電気自動車グランプリ(JEVRA)シリーズ第2戦が、5月24日(日)茨城県・筑波サーキットで開催となった。

開幕戦同様エントリー台数は17台。EV-2クラス(モーター出力111kW以上161kW未満)にBMW i3が2台、EV-3クラス(モーター出力61kW以上111kW未満)に日産リーフが9台、EV-4クラス(モーター出力61kW未満)に三菱i-MiEV2台、スマートEV2台。他にコンバートEV2台が参戦した。

午前中に行なわれた予選セッションでは、トヨタ86をコンバートEVにした金沢秀好選手(#39 ウェルマー☆ビルズ☆FT86EV/EV-Cクラス)が1分11秒993でトップタイムをマークした。しかし、その直後にドグミッションがかじった、と走行を終了。ミッション自体の大きなトラブルにはなっていなかったようで、午後のレースには無事に出走。今回は予算不足ということで、Sタイヤからラジアルにタイヤをスペックダウンしたことで、ブレーキやサスペンションのセッティングが変わってくるという状態で決勝に不安を残す展開となっていた。

 続く2番手は、 リーフ勢トップとなる大井貴之選手(#56 2位を狙う国沢リーフ/EV-3クラス)の1分15秒414。その後に江面靖彦選手(#33 edura3333リーフ/1分15秒414)そして、4番手に「クリアラップが取れなかった」となげくレーサー鹿島選手(1分15秒974)という並び。BMW i3は菰田 潔選手が1分17秒751で8番手。EV-4クラスは三菱i-MiEVを抑えて岡本幸一郎選手(#27 smart BRABUS 電気自動車/1分21秒098)という結果になった。

そして5時間という長いインターバルを経て迎えた決勝レース。ポールスタートの金沢選手の86コンバートがレースをリードしていく。予選セッションでトラブルが見つかった86コンバートだが、この昼のインターバルの時間で対応を終え、さらに出力を若干絞った状態で決勝に臨んでいる。

 8番グリッドスタートの菰田選手のBMW i3もその軽量で出足の良さを発揮して2番手までポジションを上げて先行。「最後のラストスパートではリーフに勝てない。なので、できるだけリーフ勢との差を広げてマージンを取っておきたい」という作戦だ。

それに続く3番手グループは、リーフの一団。大井選手を筆頭に8台が集団で前を伺う。

 この集団は大きな変動もなく、淡々と走行を続ける。もちろん、それは計算あってのこと。ラストスパートをどこで開始するか、それまで集団から離れないこと。スケールは違うが、それはこの日アメリカで開催されたインディ500と同じようなものだ。最後の勝負まで無駄に電気を使わず、エネルギーをどこまでもセーブしておく。その時が来たら、ガチンコ勝負、といった具合だ。菰田選手のBMW i3もその最後のためにひたすら逃げる。ノーマルのままのi3の足では、車高調&Sタイヤを組み込んだリーフには一発のタイムでは及ばない。だからエネルギー温存策ではなく電気を均等割りして25周をきっちり走りきれる中で最速タイムでラップを重ねる。

 トップを行く金沢選手が全車をラップダウン。これでリーフもi3も25周ではなく24周を走れば良くなる。すると1ラップあたりに使える電気量を増やすことができる。つまりペースアップが可能、といった具合に、単純に残電力計を単純に25で割ればいいというわけには行かないところがこのレースの見どころ、でもある。

 筑波のコースをフルアタックでどの程度の電気を消耗するのか?を計算し、逆算することでラストスパートをかけるタイミングも必要だ。特にi3はもともと軽量で出だしが良いため、コーナーでツメても出口で引き離されてしまう。如何にロスなく前車をパスするのか、このEV各車の走行性の違いも、レースを難しくさせる。

リーフ集団の2番手で常に前を伺っていた鹿島選手が、最終的に金沢選手に続く2位でチェッカーを受け、同じく集団3番手に居た西島選手がそれに続いた。集団の先頭を走るクルマは、やはり電費が悪くなる。今回もリーフ集団のトップを走っていた大井選手は残念ながら最後の競り合いに負けた。

今回、ブラバス仕様のスマートEV(#27 岡本幸一郎選手)が、このJEVRAシリーズに初参戦となった。今回は、ノーマル仕様のスマートEV(#773 塚本奈々美選手)と2台で参戦。
レース中盤こそ岡本選手がEV-4クラストップを走行していたものの、最後には塚本選手にパスされ、残念ながらブラバスバージョンのスマートEVは、デビューウィンを果たすことができなかった。ノーマルよりも出力の高いブラバス仕様だが、この電費レースでは、その本領を発揮する場もなく、さらには塚本選手の淡々と走る低電費走行に負けたといえる。

  

 【RESULT】
総合順位 クラス順 ドライバー 車番車名 周回 所要時間 トップ差 ベストタイム
1 EV-C 1 金沢秀好 #39 ウエルマー☆ビルズ☆FT86EV 25 33’18.523 – 1’14.249
2 EV-3_1 レーサー鹿島 #88 東洋電産LEAF 24 33’33.494 1Lap 1’18.794
3 EV-3_2 西島 真 #2 EVステーションリーフ 24 33’34.027 1Lap 1’18.712
4 EV-3_3 大井貴之 #3 2位を狙う国沢リーフ 24 33’34.518 1Lap 1’18.422
5 EV-2_1 菰田 潔 #17 BMW i3 24 33’63.480 1Lap 1’19.968
10 EV-4_1 塚本奈々美 #773 smart 電気自動車 23 33’26.715 2Laps 1’23.473

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