CARトップ筑波テスト[ポルシェ911、レヴォーグ、BMW M235iほか]VOL.1

CARトップ筑波テスト[ポルシェ911、レヴォーグ、BMW M235iほか]VOL.1

走りを優先するか?快適性を重視するか?

 日本車は両極端な性能をもったクルマが多い。
燃費性能を優先するハイブリッドは、サーキットではまるで走りにくい。エンジン性能もタイヤもすべてが燃費という目的のために発されてしまう。
その一方で走りを追求するクルマは、一般道の乗り心地などを犠牲にしてサーキットでの速さだけを追求している。
そこには二律背反する諸性能を両立する技術や意志が足りないと思うのだが、クルマはあくまでも一般道路を走るということを忘れてはならない。
パワーと燃費、乗り心地とハンドリング性能(ダイナミック性能)、実用性と官能性など、色々な性能をバランスさせることが大切であるが、日本メーカーはそれらを上手にまとめられていないようだ。

スバルの新生ワゴン、レヴォーグ2.0GT-Sと世界のスポーツカーの代表であるポルシェ911ターボなど、注目のクルマ6台をテスト
スバルの新生ワゴン、レヴォーグ2.0GT-Sと世界のスポーツカーの代表であるポルシェ911ターボS、マイチェンしたばかりのトヨタ86、BMW・M235i、ミニクーパー、フォード・エコスポーツ、レクサスGS300hと注目のクルマ7台をテストした

14.08筑波GS300h

  

ポルシェ911ターボS

 ラップタイム:1分2秒354

  

 現在、購入できる最高のポルシェは911ターボ。現行モデルよりターボは新型カレラ4よりも28mmもワイドな専用ボディが与えられた。エンジンは3.8L水平対向6気筒ターボ。最高出力は520ps、最大トルク660N・mとハイパフォーマンスなスペックだが、日常性能も使いやすいというのがポルシェターボの特徴だ。
その秘密のひとつがタービンにある。可変ジオメトリーという独自技術が乗りやすさとパフォーマンスを両立させる。その結果、低速から豊かなトルクを発生するため市街地でも乗りやすい。
今回テストしたのはさらにパワーを高めたターボS。ターボの過給圧を高めることで+40psの560ps。トルクは+40N・mの700N・m達する。しかもターボSには「スポーツクロノパッケージ」を標準装備。「スポーツ・プラス」のスイッチを押すと過給圧が0.15barアッ14.08筑波911Sプし、トルクはさらに+50N・m増えるという。

ツインクラッチ式セミATの7速PDKを搭載。シフト操作は、レバーまたはステアリングのパドルで行う。ツインクラッチは、常に他のギヤがスタンバイされているので、途切れない駆動伝達を可能とする

 この強大なトルクは電磁クラッチを使ってフロントタイヤにも分配されるが、あくまでもリヤのタイヤが滑るときだけ4WDとなるシステム。さらにターボ用に開発されたリヤステアシステム(4WS)でハンドリング性能を高めている。車庫入れなど小回り性能が必要な50km/hまで逆位相に操舵し、80km/h以上では同位相。これでリヤの安定性を高めているのだ。
サーキットではPDKをマニュアルモードを使用。シフトアップは自動的に行なうのでブレーキやハンドル操作に集中できる。とにかくPDKとターボエンジンのコンビネーションは最強。アクセルを戻さないでシフトアップするので、エンジンのトルクが落ち込まない。

  

カーボンセラミックローターはポルシェのコア技術。最近のスポーツカーも採用するようになったが、もともとポルシェとサプライヤーが共同で開発したもの。高い放熱効果をもち、フェード現象を抑えられる

 ブレーキ性能も素晴らしい。カーボンセラミックブレーキは利きもよく熱に対して性能が安定している。ブレーキを強く踏むとABSが作動するが、その状態でハンドルを操舵するとブレーキの力を少し緩めて曲がりやすくする機能をもっている。
ヘアピンでは鋭くコーナーのクリッピングに向けてハンドルを切り込むことができるし、アンダーステアは少ない。立ち上がりは、いくら4WDでも700N・mのトルクにタイヤが悲鳴を上げる。テスト車両が装着する公道を快適に走れるコンチネンタルタイヤでは、グリップ力が不足していると実感した。サーキット走行には、オプションのGT3と同じハイグリップタイヤが合っているだろう。

  

  

  

 ダンロップコーナーをクリアして左80Rを攻めるが、ここでアクセルを全開にできない。速度的にはリヤ操舵は安定性方向に作用しているが、4WDの制御と相まってアンダーステアが出てしまう。ブレーキ制御を使うベクタリング機能(左右輪のトルク可変配分)を備えているが、フロントタイヤの剛性がないとベクタリングも効き目は少ないと思った。
バックストレートでは、スピードメーターの針がアッという間に200km/hを指す。最後に見た数字は210km/h弱。実測では204km/hをマークしていた。最終コーナーはかなりキツイブレーキを踏んでターンインするが、ABS制御が旋回性能を補助してくれる。日産GT-Rと同じようなハイグリップタイヤを履けば、1分00秒台で走ることができそうだ。

スバル・レヴォーグ2.0GT-S アイサイト

 ラップタイム:1分10秒780

 歴代スバル・レガシィ・ツーリングワゴンで筑波サーキット最速ラップタイムは、1996年にテストした2代目のGT-Bの8秒台だった。
テストするレヴォーグ2.0GT-Sは、ビルシュタイン製サスペンションを装着。エンジンは2L直噴ターボで300ps/400N・mのパワーとトルクを絞り出す。以前テストした2Lターボ+4WDのフォルクスワーゲン・ゴルフRが7秒台で走ったことを考えても9秒台は記録してほしいところだ。タイムばかりを気にするわけではないが、ラップタイムはレヴォーグのパフォーマンスを知る手がかりになるはず。
レヴォーグには2Lと1.6Lをラインアップするが、排気量だけでなく4つのタイヤにトルクを分散する4WDシステムも異なっている。
1・6Lはアクティブトルクスプリット方式で、基本的にはオンデマンドシステムのAWDだ。前輪が滑ってから、後輪にトルクが分配されてAWDとなる。だが、2LにはスバルがこだわるフルタイムAWDのVTD(可変トルクスプリット)が備わる。トルク配分はスバルの長い経験からフロント45%、リヤ55%にセットされているが、走行状況が変わると50対50の配分にもなる。サーキットではフロントタイヤのトルクの負担が少ないので操縦性では有利かもしれない。
テスト当日は、路面はドライだが雨が降る直前で湿度も路面温度も高めだ。コースコンディション的にタイムはあまり期待できない。
実際にテストするとバックストレートで、6000rpm付近でエンジンがバラつく。後でわかったことだが、CVTの油温が危険温度域まで上昇したようだ。スバルに確認すると2ラップは行けるはずであったとのこと。ちなみにスバルのテストでは9秒台で走ったそうだ。今回はなんとか乗り切るために、パドルを使って5700rpmくらいでシフトアップ。それでもバックストレートのトップスピードは166km/h。同じときにテストした200psの86が157km/hなのでやはりコンディションは正常ではなかったようだ。

2.0GT-Sは2L直噴水平対向4気筒ターボエンジンを搭載。1.6Lターボエンジンもラインアップする
2.0GT-Sは2L直噴水平対向4気筒ターボエンジンを搭載。1.6Lターボエンジンもラインアップする

 エンジンはともかく、ハンドリングはまずまず合格。18インチタイヤを履きこなすだけの剛性感がサスペンションにもある。WRX STIとBピラーまで同じなので、レガシィの伝統を受け継いでもホットな走りの部分はWRX譲りなのだ。そのためか、ハンドリングはゴキゲン。ロールも少なくタイトコーナーをクリアし、最終コーナーの進入ではブレーキしながらステアリングを切るが、舵の利きは正確だった。コーナーのエイペックス(クリッピングポイント)でアクセルを踏むと、普通ならアンダーステアが発生しやすい状況にもかかわらず、レヴォーグは何事もなく立ち上がる。やはりVTDの効果がありそうだ。
気になったのはステアリングホイールの表皮がすべすべしていて滑りやすいこと。しかし、シートはスバル車として最高の座り心地。横Gを受けてもホールド性がよく、身体がずれない。
また、CVTでスポーツドライブすると、どうしてもアクセルを踏んだ瞬間のレスポンスに不満が残ってしまう。トルコンATならロックアップできるので、ダイレクト感がある。DCTならサーキットは最高だ。今後スバルにはスポーツドライビングで使えるダイレクト感のある2ペダルATが必要ではないだろうか。

  

2Lのトランスミッションは、通常のマニュアルモードは6速だが、S#モード時には8速クロスレシオになる

結論を述べるならば、CVTのダイレクト感に少し不満もあるが、レガシィよりも進化したことは間違いない。WRXの走りとレガシィの高級感が合体したのがレヴォーグなのだ。個人的には1.6LターボのGTが気に入ったが、スポーツドライビング派はビルシュタインが装着されるGT-Sがいいだろう。サーキットや雪道を走らない限りAWDシステムの違いは、あまりこだわらなくてもいい。

ビルシュタイン製サスを装着するGT-Sと2Lエンジン搭載車は、18インチホイールを履く。1.6Lの1.6GT(アイサイトを含む)は17インチ

  

諸元表
車名 --- ---
グレード --- ---
全長×全幅×全高 (mm) ---×---×--- ---×---×---
ホイールベース (mm) --- ---
トレッド 前/後 (mm) ---/--- ---/---
車両重量 (kg) --- ---
パワーユニットタイプ --- ---
排気量 (cc) --- ---
最高出力 (kW[ps]/rpm) --- ---
最大トルク (Nm[kg-m]/rpm) --- ---
駆動方式 --- ---
トランスミッション
サスペンション 前/後 ---/--- ---/---
ブレーキ 前/後 ---/--- ---/---
タイヤサイズ 前/後 ---/--- ---/---
JC08モード燃費 (km/L) --- ---
価格 (万円・税込) --- ---

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